本日は前回の続きとして、会社の類型の中から第一弾として、合名会社について触れていきます。

合名会社は、一言でいえば、自分で出資して、自分で経営を行う所有と経営が一致する会社です。
起源は古く、12~13世紀のヨーロッパのコンパ―ニア(compagnia)にあるとされています。有名なハンザも同じような時期に生まれています。
コンパ―ニアは、ある一家が複数世代にわたって同一の名称を用いて活動するために生まれ、家族以外も含む形で発展しました。
家族といっても家族経営の商店ではなく、ヨーロッパ各地に支店を設け、君主・諸侯などにお金を貸すなど、言わば巨大な財閥です。
日本でも、戦前には三井財閥などの持株会社として利用されることもありました。

さて、そんな合名会社の特徴は、社員(従業員ではなく出資者のこと)が会社経営に携わり、無限責任を負うことです。
無限責任というのは、会社の債務について社員が自宅や自家用車などの個人財産を使ってでも返済しなければならない責任を意味します。
そして、合名会社はこの無限責任の社員で構成されるがゆえに、社員の個性や社員間の協調が重視される人的会社になります。
言い換えれば、社員が抜けたり新しく入ったりすることで、経営がうまくいかなくなる危険を秘めているとも言えます。
合名会社は、設立コストも安く、柔軟に組織を運営できるメリットに加えて、2006年の会社法施行で社員1名でも設立が可能になりました。
しかしながら、その時に新設された合同会社が、同じく設立コストが低い上に、社員が無限責任を負わないことからより使い勝手がよいため、
現代では合名会社が設立されることは稀であり、現存社数は約3千社(国税庁「会社標本調査結果」)と最も少ない会社形態となっています。

ちなみに、合名会社は日本やフランスなどでは法人格を持つ一方で、ドイツなどでは法人格を持たないなど、国によって法制度が異なっています。
またアメリカなど英米法では、合名会社に倣って、(ジェネラル)パートナーシップが法制化されていますが、
これは事業主体にはなるものの法人格はありません。
ちなみに、日本(民法)でも合名会社とほぼ同じ構造で、法人格を持たない組合任意組合と言われます)を作ることもできます。
なお、弁護士法人や税理士法人などの士業法人は法人格を持ち、合名会社とほぼ同じ構造となっています。

本日は、歴史的な経緯は面白いものの、現代では利用されることがほとんどない合名会社について触れてみました。
次回は合資会社について取り上げたいと思います。