本日は、前回の合名会社に続き、第二弾として合資会社について触れていきます。

合名会社が全ての社員が無限責任を負うのに対して、合資会社は、無限責任社員と有限責任社員の両方で構成される会社となります。
伝統的には、事業を始めたいが資金に乏しい人が、資金のある親戚などに出資してもらって事業を行う、というようなイメージです。
言い換えれば、会社を経営して無限責任を負う社員と、資金は出すが経営には関与しない有限責任の社員の2名以上で作る会社です。
有限責任というのは文字通り、会社が倒産したときなどに、負うべき責任の限度額が決められていることを意味します。
なお、有限責任社員は必ずしも現金での払込は必要なく、将来の会社債務の引き受けを約束すれば出資したことになります。
ただし、2006年の会社法施行により、”無限責任社員だけが会社を代表し、業務執行する”という規定がなくなりましたので、
現在の会社法での無限責任社員と有限責任社員の違いは、負うべき責任の限度額が決められているか否かになっています。

さて、そんな合資会社の起源は、10世紀頃にイタリアなどで行われていたコンメンダ(commenda)にあると言われています。
コンメンダでは、受託者が委託者から金銭(当初は商品)を預かり、それを元に海上交易をして、得た利益を分配していました。
この時、委託者の責任は出資の範囲に限定されていましたが、受託者の権限が強いことで、事業を拡大しにくいという欠点がありました。

閑話休題、日本での合資会社は戦前の三菱財閥の持株会社が有名ですが、ほとんどは同族経営を前提とした小規模企業でした。
設立の容易さから1990年代には活用されることもありましたが、現存社数は約1万社(国税庁「会社標本調査結果」)とかなり減っています。
特に、2006年の会社法施行により新設された合同会社は、全社員が有限責任かつ1人でも設立できる(合資会社は2名以上)ため、
合資会社の優位性であった設立の容易さというメリットが失われ、現代では新たに合資会社が設立されることはほとんどなくなりました。

ちなみに、コンメンダの中でも出資者(貴族や聖職者)を秘匿にする需要に応えて発展したのが匿名組合です。
日本(商法)でも昔からありましたが、昔は合資会社に比べてマイナーな存在だったと思います。
一方、英米法では合資会社に倣い、リミテッド・パートナシップが法制化されていますが、パートナーシップの一種なので法人格はありません。
そして、日本でもこれを輸入する形で、1998年に投資事業有限責任組合(LPS)ができました。
現在では、匿名組合と投資事業有限責任組合は多少の違いはあるものの、どちらも投資ファンドに利用され、目的に応じて使い分けられています。

今回は、法改正の歴史の中で存在意義を失ってしまった(かもしれない)、そんな合資会社についてのお話でした。