最初に、この度の令和8年熊本地震により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
被災された皆様の安全と皆様の生活が1日も早く平穏に復することを、お祈り申し上げます。

さて、今日はお金の話の第4弾です。
第2弾のお金と時間というタイトルにて、時間が経過すると、物価が上がる=お金の価値が下がるという話をしました。
今日は、誰もが気になるであろう、物価が上がる=お金の価値が下がると誰が得をして、誰が損をするの?というテーマに触れていきたいと思います。

誰がといっても、個々の話ではなく、経済活動の主体(参加者)は、家計企業政府の3つに大分されますので、この単位で考えてみたいと思います。
単純化するために、経済活動量は変わらずに、物価(=企業の販売価格も)が5%上昇し、給与も同じく5%上昇したという仮定を置きます。

まず、企業から考えてみます。
企業の売上は5%自然に増えます。ただし、仕入価格と人件費も5%上昇しますので、利益率は変わらず、利益の金額が5%増えることになります。
ここから税金(法人税)が引かれますが、法人税の税率は利益の額が増えても変わらないため、単純に税金も5%増えます。
従って、企業の手持ちのお金は5%増えることになりますが、一方で物価上昇によりお金の価値が5%減っていますから損得なしです。
※ 実際には、工場や設備など過去に投資したものや在庫などを使用して活動していますので、会計的な利益の観点では、もう少し複雑です。

次に家計について考えてみます。
普通のサラリーマン家計であれば給与が5%増えます。一方、給与から引かれる税金と社会保険料も増えることになります。
社会保険料は収入が増えても負担率は変わりません(ただし、負担上限あり)が、税金については累進課税制度が適用されています。
累進課税制度というのは、所得格差を調整するため、収入が増加するにつれて税負担率が増えていく仕組みです。
つまり、給与が5%増えると、税負担率が上がる分、税金は5%よりもほんの少しだけ多くなることになります。
従って、家計の手持ちのお金は5%までは増えないことになりますので、お金の価値が5%減っていることを考えると、僅かに損をしています。
給与が増えているはずなのに、生活が楽になるどころか苦しくなった気がする…という方が多くても不思議ではないわけです。
ちなみに、年金収入家計は、2004年にマクロ調整スライド制が導入されたため、年金収入は5%増えませんのでやはり損になります。

最後に政府についてです。
ここまで読まれた方ならわかりますね。単純な一般論で考えると、政府が得をすることになります。
政府の収入は、大きく分けて企業からの法人税、個人の収入からの所得税、そして消費税から構成されています。
消費税は物価上昇した分(+5%)が自然に増えます。企業からの税金も5%増えます。給与からの税金は5%より少し多く増えます。
政府の人件費、事業費などの政府支出の増加は5%で済みますので、給与からの税金が5%よりも少し多くなる分が余剰になります。
また、政府の場合、お金の価値が下がることで実質的に借金が目減りするメリットもあります。これは借金のある企業や家計も同じです。

もちろん一般論であって、現実には、経済活動量の変化や上がるタイミングなどもあり、こんなに単純ではないのですが、
今回は、物価が上がる=お金の価値が下がると誰が得をするのかについて、基本的な考え方の話をさせていただきました。