今回は前回の予告どおり、会社法における株式会社の概要についてのお話です。
17世紀にオランダで生まれた株式会社ですが、現代においてもその仕組みはほとんど変わっていません。
他の会社(合名会社・合資会社・合同会社)と決定的に違う特徴は、法制度上、所有と経営の分離がされていることです。
株式会社は、事業を行うための資金を多くの人から集める仕組みであり、出資者に対して株式を発行します。
この株式を保有する人を株主と呼び、会社の共同所有者として、様々な権利を持ちます。
ちなみに、この権利を証明するための書面(証券)が株券ですが、現在では発行されることは稀となっています。
さて株主の権利は、大きく経営参画権と財産的権利に分けられます。
経営参画権は、株主が会社の経営方針に対して意思表示をするための権利です。
株式会社は、株主総会が最高意思決定機関(国でいう国会)であり、ここで経営者(取締役)の選任や解任、合併や解散などの
重要な事項を決定しますが、株主はこの株主総会において、保有する株式数に応じた議決権を持ちます。
当然、多くの株式を保有している株主は会社の経営に対する影響力(支配力)が大きくなります。
次に、財産的権利ですがこれは、会社の利益の一部を分配してもらう権利(配当請求権)と、会社が解散・清算することに
なった場合に会社の残った財産(資産)を分配してもらう権利(残余財産分配請求権)を指します。
なお、前回も述べましたが、もし会社の事業が失敗して会社の資産より債務が多くなったしても、出資額がゼロになるだけで、
株主がそれ以上の負債を負うことはありません(有限責任)。
このように、株主は会社の重要な決定を行い利益の分配を受けますが、会社の経営そのものに直接タッチするわけではありません。
会社の経営は、株主総会で選ばれた取締役が行います。取締役は株主である必要はありませんので、いわゆる経営のプロを
招聘することができます。
取締役は、株主から出資を受けた資金で上手く事業を行い、会社の価値を高めて、株主に利益を分配する必要があります。
従って、株主総会において経営成果を説明する義務を負い、株主が納得しない場合にはクビ(解任)にされる可能性もあります。
簡単に言うと、カフェのオーナー(所有者)と店長のような関係です。
2006年の会社法施行で従来の最低資本金の規制がなくなったことにより、知名度(信用度)の高い株式会社の人気(?)が高くなり、
現存法人数の約90%を株式会社が占めています(国税庁「会社標本調査結果」)。
確かに株式会社の方が響きがカッコイイ感じがしますよね(笑)
この中には旧有限会社も含まれ、資本金が1000万円にも満たない規模の小さい企業も数多く含まれています。
そして、このような小規模企業では株主として、自らを経営者(取締役)として指名することが珍しくありません。
このような場合には、株主としての責任は有限でも、経営者(取締役)としては無限責任となることが一般的です。
つまり株式会社は、制度的には(上場会社のように)所有と経営が分離される会社形態ですが、
実際上は合名会社や合資会社で典型とされる家族経営的な会社も多数ある…そんな株式会社についてでした。
